もうこれ以上、許さない
ぐっと後頭部が引き寄せられて、チュッとおでこにキスが落とされた。

ありえない不意打ちに、胸がぎゅっと掴まれるも…

風人の「はああ!?」というブーイングに続けて、当然怒る。

「っ、誉!
場所考えてよっ」

「ごめんっ、考えれないくらい月奈しか見えなくなってた」
とまた、いたずらな笑顔で言い捨てて、帰って行った誉。

なにそれどーゆー意味!?
妹さんしか見てないくせに…
ベッド以外でも恋人プレイするつもりっ?
と、騒ぐ胸を必死に抑える。

すると風人が。
「うわ、ときめいてるし…
つか俺、あんなん見せられたらやりきれないんだけど」
そう片手で顔を覆ってうなだれた。

その様子に心を痛めながらも…

「…じゃあもう来なきゃいいじゃん」
諦めさせるにはちょうどよかったかもと、それを促す。

「そんな事ゆうっ?
俺のが、月奈(●●)の事すげぇ好きなのに…」
ひどく切なげに、そんな言葉をこぼされて。

胸が、息も出来ないほど締めつけられる。


「っ、呼び捨てしないで!」

「月奈だってさっきしたじゃん」

「だからあれはっ、焦ってまた短く呼んだだけでっ」

「俺だって焦ってるし!
マジでめちゃくちゃ焦ってる…」
辛そうに歪む顔に。
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