もうこれ以上、許さない
「ん…
いくらでも待つよ。
そもそも簡単な問題じゃないんだから、ぜんぜん急がなくていいし、無理もしなくていいからね?」

そう今度こそ、どんなに自分が辛くても…
もう2度と風人を苦しめないし追い詰めない。
改めて心に誓うと。

「ごめんムリ…
もう抱きしめる」
と、その手が伸びる。

「だーめっ。
ほらまたラーメン来ちゃうよ?
早く自分の席に戻って」

「ええ〜!
俺のこの狂おしい気持ちどーしてくれんのっ?」

ドキドキしてるあたしを知るよしもなく、いじけた様子で渋々戻る。
そんな風人が愛おしい…


「じゃあ代わりに何か1つ、聞けるお願いなら聞いてあげる」

「それ絶対、聞ける範囲狭いヤツだ…」

「贅沢言わない。何にするっ?」

「んん、じゃあさ…
月奈って呼んでい?
そんで俺の事は風人って呼んで?」

今となれば、そんなのこっちのお願いだよ…

「1つって言ったよね?
だから今回は、あたしの呼び捨てだけね」

「ケチ〜。
俺の事も、もう2回も呼び捨てしてんだからいーじゃん」

「ふふっ、好きだよ風人」
サプライズを狙って、そう不意打ちすると。

その人は目を丸くして、またしても固まって…
バタッと胸を押さえた。
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