もうこれ以上、許さない
「うわ、こんな日が来るなんて…
マジで感動なんだけどっ」
そう手を合わせて、いただきます!と嬉しそうに口にした風人は…
目を大きくして、片手で顔を覆ってうなだれた。

うそ、そんなあからさまにガッカリするほど不味かった!?
そう焦った瞬間。

「ヤバい、最高…
うっっっま!」
ぼそりと呟いたあと、顔を上げながら力いっぱい訴える。

「紛らわしいわ!」

「つーかこれ、あいつも食ったとか許せないっ」

「いや、そんな大そうなもんじゃないからねっ?」

「いーや、俺にとっては重大だねっ。
けどこっちの方が絶対旨いし!
だって俺らの愛の結晶だし?」

愛の結晶って…
でもその表現はなんだか嬉しい。


「んんっ!
このだし巻きもクソうめえ!
ってまさか、これもあいつに作った?
つかもしかして、あいつとも一緒に作った!?」

「どっちも作ってないよっ」
いちいち対抗する風人に、クスクス笑いながら答えると。

「よっっしゃ!」ってめちゃくちゃ嬉しそうにガッツポーズするから、こっちまで嬉しくなった。


そしてほっと胸を撫で下ろしたあたしは、ようやく周りに目が行く。

「…にしても部屋、ちゃんと綺麗にしてるんだ?」
昔は適当だったのに…

「うん、今日のために頑張った」
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