もうこれ以上、許さない
「そんな俺から言わせてもらえば、彼女はめちゃくちゃ素敵な人間です!」

「素敵…
それはどこに対して言ってるんだ?」

「笑顔です」

いやそこかーい!
それしか褒められるところがない自分に、若干落ち込む。

「…それは、見た目って事だろう?
そういう事を言ってるんじゃないっ」

「違います!
確かに見た目もそうだけど…
笑顔が素敵なのは、中身が素敵だからで。
そんな彼女の笑顔に、いったいどれだけの人が癒されてきた事か…
そーやって彼女は服のクリーニングだけじゃなく、お客さんの心までクリーニングしてるんです!」

いやしてないからねっ!?
どんだけ盛るのっ。

「…なるほど」

いやお父さんまで!
そんなくっさいセリフ真に受けないでよっ。

「つまり迷惑どころか、みんなの役に立ちまくってて…
それってすごくないすかっ?
誇れる事だと思いませんっ?」

「っ…
笑顔の(そんな)事は、他人に言われなくてもわかってるっ」

わかってるう!?
いやそれ絶対、風人に合わせただけだよねぇっ?

とはいえ。
今まで完璧な妹と比べられて、褒められる事がなかった娘が…
どんな内容でも褒められたのは、まんざらでもないようで。
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