もうこれ以上、許さない
「だけどっ…
あいつみたいに、体当たりで行けばよかったんだな…」

「…まぁでも、そんな風人を陰で助けてるのは誉なんだからね?
今だってそうだし」

そう、あのあと風人から…
親と食事に行くと思ったのか、どんなに遅くなってもいいから会いたいと言われ。
例のホテルで落ち合う事になり、例のごとく誉が送ってくれていた。

玉城さんにバレたんなら、もうカモフラージュする必要はないと思って断ったけど…
誉と付き合ってる嘘を突き通すためには、今まで通りの行動をした方がいいと言われ。
その嘘を無駄にしないためにも、そうする事にしたのだ。


「別にあいつを助けてるわけじゃない」

「…それでも。
あたしも風人も、すごく助かってる。
ほんとにありがとう」

「いや俺がやってる事なんて、一時しのぎにしかならないよ。
あの子がこのまま引き下がるとは思えないし、そのうち出張も終わるだろうし…
これからどうするのか、もう一度考え直した方がいいかもな」

「…ん、そうだね」
そう返事をしたものの。

風人とやり直したい、その気持ちは変えられないし。
かといって、親にはもう迷惑も心配もかけたくないし。
どうする事も出来なくて、ただただ追い詰められていた。

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