もうこれ以上、許さない
と、その時。
携帯にマスターからメッセージが入る。

〈おつでーす!
夏バテしてないか〜?
え、しそう?
そんな月奈ちゃんにオススメな一杯が、こちら↓↓↓〉 
と、カクテルのレシピ画像が添付されてて。
あたしは歩きながらクスリと笑った。

あっちでこの携帯の番号とかを知ってるのは…
クリーニング屋の事務所と、マスターだけで。
今でもこうやって、たまに連絡してくれてた。

〈美味しそう!
今実家だから、マイバーに戻ったらさっそく作ってみるねっ〉
そう返事した通り…
今は自分で作って、カクテルを楽しんでた。

元々、マスターやCyclamenだから通ってただけで…
それ以外なら必要ないからだ。

ふいに。
貸し切りにしてくれた、最後に飲みに行った日を思い出す。






「マスター、今までほんとにありがとね。
いつもいっぱい元気もらってた」

「ぜーんぜん、こっちこそだよ。
俺もめちゃくちゃ元気もらってたし。
月奈ちゃんのおかげで、今のCyclamenがあるからさっ」

「それは嘘すぎっ。
しかもあたしは元気どころか、陰気を持ち込んでた気がするんだけど」

「いやマジだから!
ほら覚えてるっ?あの黒歴史のあと…」
と、今までを振り返り始めるマスター。
< 289 / 348 >

この作品をシェア

pagetop