もうこれ以上、許さない
とはいえ…

「芽衣の気持ち、わかんなくはないよ。
俺だって、(月奈に対して)似たようなもんだから。
けど、本っ当に好きならさっ?
自分の気持ちより相手の気持ちを、優先出来るんじゃないかなぁ」

そう言って、芽衣の頭をポンポンすると…
その顔がグシャリと歪んで、いっそう涙をあふれさせた。

でもその涙は今度こそ、わかってくれた涙だと信じて…

「…さよなら、芽衣」
俺はようやく、終わりの言葉を口にした。



そうして。
やっと自由になれた俺は、さっそく月奈に連絡しようとして…
少しためらう。

今までの事を謝って全部説明したあと、もう1度告ろうと思ってたけど…
芽衣に言った事は、自分にも言える事で。
自分の気持ちを優先して、またしつこく迫ったら…
また月奈に辛い思いをさせんじゃないかって。

そう、さんざん嘘ついてきた芽衣の話なんか当てになんないけど…
色々調べる芽衣だから、さっきの月奈の情報はほんとかもしれないし。
あのセフレ野郎も彼氏のフリしたって言ってたから、親が公認ってのも嘘じゃないだろうし。
あいつと結婚するって言った月奈の話とも噛み合ってるから…
月奈が好きなのは、やっぱりあいつで。

ー「誉は法人契約してるとこがあるじゃん」ー
そう言ってた事から、あいつが経営者なのもたぶんほんとで。
< 328 / 348 >

この作品をシェア

pagetop