もうこれ以上、許さない
だったらもう邪魔しない方が…
このままあいつと結婚した方が、幸せなんじゃないかと思った。

だけどどうしても、最後にもう1度だけ。
記憶が戻った俺で、当たって砕けるまでは諦めらんなくて…

ふと気付く。

ー「記憶喪失とかバカみたいな事言って、体良く浮気するような男、本気で好きになると思うっ?」ー

嘘だ…
記憶喪失なのを知ってる月奈が、それを信じないわけなくて。
いや思いっきり嘘じゃん!

そうなると、好きじゃない理由にもならなくて…

しかも、あの時は辻褄が合ってると思ったけど。
今思えば、一晩中キスしたあの夜や…
今まで月奈がしてきた事やリアクションを、全部恋愛ごっこで片付けるのは無理がある。

なにより。
付き合ってた頃の、俺を好きだった頃の月奈が…
その頃と同じな、俺を見る目や反応が…
愛されてたって教えてくれてた。


俺は月奈を忘れてたのに…
あんな酷い目に遭わせたのに…
同じく酷い目に遭わせた芽衣と、婚約までしてたのに…
いつもいつも口だけだったのに…
月奈はあいつと甘々で、上手くいってたのに…

なのにそんな俺を、また好きになってくれたんだよな?
だから俺のために、身を引いたんだよな?

自惚れかもだけど、そう思いたくて。
この目で見てきた月奈を信じたくて。
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