もうこれ以上、許さない
そうやって1年半がすぎ。

死ぬほど会いたい気持ちが見せた、幻なのか夢なのか…
時間が巻き戻されたみたいに、出会ったあの日が再現される。

思わず目を疑って、だけど紛れもなく現実で。
大きく息を吸い込んだ月奈と一緒に、あの日の言葉を叫んだら…
フライングしてしまったけど。

こっちを向いた、愛しくてたまらない姿に…
心が震えまくって、目頭が熱くなって。
あまりの嬉しさで、込み上げてた涙を笑い飛ばした。






思わず。
ストーカー疑惑の犯人、お前かーい!
と途中で笑いそうになったものの。

「電話の事、ごめんね?
あとお父さんの事も…」

「だからこっちがごめんだし!
けど、こーやってまた出会えたし…
マジでここを拠点にしてよかった〜」

「拠点だったのっ?」

「そう、もうここの(ぬし)になってたね」

その発言に吹き出すと。
風人は目を大きくして、胸を押さえた。

「うっわ、久々心臓を撃ち抜かれた…
毎日通ったのがガチで報われる」

「毎日通ってたのっ?」

「うん、クリーニング屋にも毎日通ってたじゃん」

「そーだけどっ、ここで会えるとは限らないんだし…
今回は奇跡的に会えたけど、ちょっとタイミングがズレただけでも会えないんだよっ?」

事実、去年はすれ違ってる。
< 332 / 348 >

この作品をシェア

pagetop