もうこれ以上、許さない
「ただ俺だって、元々はちゃんとプロポーズするつもりだったよっ?
いつするかは決めてなかったけど…
芽衣が、月奈んちの隣に住むとかゆうからさ?
すぐにでも結婚したいって思ったんだ。
一緒に安全なとこに住んだら、守りやすいと思ったし。
毎日一緒にいられるし。
社長も、新婚の俺にはもう芽衣を任せられないって思ってくれるかなって。

でも月奈の親父さんは、籍だけ先に入れるとか反対しそうだと思ったし。
俺も、せめて指輪くらいは好きなもん買ってあげたかったから、すぐには実行に移せなかったんだけど…
そしたら我慢出来ない状況になるし。
そのあと月奈も、最後まで聞いてくれなかったしさぁっ?」
と口を尖らせる風人。

そうだよ…
結局はあたしが、最後まで聞かずに逃げたから…
お互いめちゃくちゃ苦しんで、こんなに遠回りする羽目になった。

わかってた事だけど、改めてそれを思い知らされて…
そんな自分がつくづく嫌になる。


「ごめんっ…」

「いや責めてるわけじゃなくてっ…
むしろ、そーやって愛想尽かされるような事した俺が悪いんだしっ。
けど、許してくれるならさっ?
あの時の続き、リニューアルバージョンで聞いてくれる?」

「…こっちのセリフだよっ。
あたしこそ、聞かせてもらえるっ?」
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