もうこれ以上、許さない
心を許さない
「彼氏となんかあった?」
翌日、風人から心配そうに覗き込まれる。

「っ、なんでそう思うの?」
ドキッとして、近づいた顔から視線をそらした。

「だって、心がどっかいっちゃってる感じだから」

「そうかな…
でも大した事じゃないよ。
ただ、あたしの事どう思ってるのかなって」

「うわガチだ。
俺の前でそんな事ゆうっ?」

「そっちが訊いてきたんじゃん」

「あそっか」

そんな風人にクスリとすると。


「まぁでも、月奈ちゃんが笑顔になれるといいな」
そうよしよしされて…

心が、感覚(●●)が、一気に風人に持っていかれる。


「やめてよ!」
とっさにその手を、力いっぱい払ってしまう。

しまった!
すぐに顔を向けると、風人はショックを滲ませた驚き顔で固まってて。

「っ、ごめん…
そういうの、苦手だから」
慌てて謝罪と、過剰反応の言い訳をするも。

「や、俺が悪いし。俺のがごめん」
いつになくしおらしい態度で、気まずそうに帰っていった。


ごめんね、風人…
だけど、これで良かったのかも。
きっと、今までみたいに通わないよね?

そう、風人は帰り際。
今までみたいに「じゃあまた明日」って言わなかった。
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