雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「はい。よほどお疲れなのでしょう。あの、今夜はお部屋にお戻りになりますか?」

 聞かれた龍宗は、璃鈴の細い体を長椅子から抱き上げる。


「いや。このまま共に眠る」

「かしこまりました。おやすみなさいませ」

 秋華は礼をとると、明かりを消して静かに部屋から出ていった。

 寝台に横たわって眠り続ける璃鈴を、薄闇の中で龍宗はしみじみと見つめる。


「……つまらぬ。俺こそが龍の化身だというのに、その俺が、お前の舞の側にいることができないのか」

 誰にも聞かれることのないつぶやきは、闇に溶けて消えた。

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