雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 ぐっすりと眠っていた璃鈴には、まったくわからなかった。けれど秋華にそう聞いて、璃鈴はその褥のぬくもりの愛しさの理由を知った。

(そう。龍宗様が……)



「私、なにか失礼をしてなかったかしら」

 急にそわそわとし始めた璃鈴に、秋華は笑みを返す。

「どちらかと言えば、とてもご機嫌がよろしいようにみえましたけれど」

「そう? それならよいのだけど……」

「それより璃鈴様、ごらんください」

 朝餉の用意を終えた秋華が、窓にかかっていた幕をひく。すると、外の景色が見えた。

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