雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「龍宗様がそれほどに我慢をなされているのは、初めて見ます」

「俺がよほど短気のようではないか」


「その通りでございましょう。あなたは昔から気が短くて、特に政治に参加するようになってからは官吏と衝突するたびに私がどれだけ苦労をしたことか……」

 わざとらしく肩をすくめた飛燕の言葉に、龍宗は手元のお茶を飲んでごまかす。

「それはともかく、璃鈴のことは、まだ急ぐときではない……はずだ」

「そうですね。あなたは短気で乱暴なところもありますが、国政においてそれほど間違ったことはしてはいないと私は思っております」

「俺は一応褒められたと思っていいのか?」
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