雨の巫女は龍王の初恋に舞う
第五章 諍い
「璃、璃鈴様っ!」

「秋華、どうしたの。そんなに急いで」

 次の日、璃鈴が朝餉を終えてのんびりしていると、冬梅に呼ばれて出て行った秋華が転げるように部屋に戻ってきた。

「冬梅は、なんのご用事だったの? 今朝からなんだか騒がしかったけれど、その件かしら?」

「実は……」

 秋華の説明に、璃鈴も思わず立ち上がった。



 後宮の一画には、大きな談話室がある。大きな窓に囲まれた明るく広い部屋には、妃嬪たちがゆっくりくつろげるような調度が揃えてあった。お茶を飲んだり歓談したりするための場所だ。そう、璃鈴は聞いている。
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