雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「そんなことを言うものではないわ、明貴。申し訳ありません、皇后様。彼女は緊張のあまり、こころにもないことを口走っているのです」

 三人の真ん中にいた女性が諌めるが、口調は全く悪いとは思っていないのがありありとわかる。彼女が立ち上がると、渋々と言った感じで両側の二人も立ち上がった。


「はじめてお目にかかります、皇后様。私は周玉祥。この度淑妃としてこの後宮にまいりました。以後、よろしくお願いいたします」

 軽く頭を下げたその挨拶は、貴人に対する礼ではなかった。そしてその間も、値踏みするような視線を璃鈴に投げかけている。

「こちらが徳妃の孟明貴、賢妃の朱素香です。では」


 それだけ言うと、玉祥と名乗った女性は、他の二人を従えるようにして談話室を出て行った。その様子を見れば、どうやら三人は以前よりの知り合いらしかった。
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