雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「後宮に新しい妃が入ること、秋華は何か聞いていたの?」
その後ろ姿を見ながら、困惑したように璃鈴が秋華に問うた。
「いいえ! むしろ、あの冬梅が動揺して私に連絡してきたくらいですから、こちらでは誰も知らなかったのだと思います」
今日の早朝になって、急に妃が入ることが後宮に通達された。あわてて女官たち総出でそれぞれの宮のあつらえを行わなければならなかったので、朝から後宮はとんでもない大騒ぎだったのだ。
璃鈴は、複雑な気持ちで秋華に聞いた。
「ねえ、秋華」
「なんでございましょう」
「あの方たちと……私、仲良くなれるかしら」
妃たちの態度にまだかりかりと腹をたてていた秋華は、思いかげない璃鈴の言葉に目を丸くする。
「仲良く……ですか?」
「ええ」
言いながら璃鈴は、誰もいなくなった談話室を見渡した。
その後ろ姿を見ながら、困惑したように璃鈴が秋華に問うた。
「いいえ! むしろ、あの冬梅が動揺して私に連絡してきたくらいですから、こちらでは誰も知らなかったのだと思います」
今日の早朝になって、急に妃が入ることが後宮に通達された。あわてて女官たち総出でそれぞれの宮のあつらえを行わなければならなかったので、朝から後宮はとんでもない大騒ぎだったのだ。
璃鈴は、複雑な気持ちで秋華に聞いた。
「ねえ、秋華」
「なんでございましょう」
「あの方たちと……私、仲良くなれるかしら」
妃たちの態度にまだかりかりと腹をたてていた秋華は、思いかげない璃鈴の言葉に目を丸くする。
「仲良く……ですか?」
「ええ」
言いながら璃鈴は、誰もいなくなった談話室を見渡した。