雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「龍宗様、お仕事は?」

 戸惑う璃鈴を振り向くと、さく、と芝を踏んで龍宗が近づいてくる。


「明日は午後からだ。……先ほどは、すまなかった」

 璃鈴の泣きはらした瞼を、龍宗は指でそっとなぞる。

「妃の後宮入りは、官吏が勝手にやったことだ。だから一度も、俺はお前以外の妃のもとへは行っていない」


 静かな龍宗の声に、今度は璃鈴も素直にその言葉を受け取った。


「龍宗様が望んだことではなかったのですか?」

「ああ。俺も知らなかった。国費を使わずすべて私財で賄ったと言われれば、経費削減という俺の反論は弱い。とにかく妃を置けば、いずれ手がついて後継の問題も明るくなるとでも思っているのだろう」
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