雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「でも、ここは後宮です。他の妃に触れて欲しくないなんて、そのようなわがままは申せません」

「言って欲しいと思う俺もわがままなのだから、ちょうどいい。……お前だけは、言っていい。俺が聞きたいのだ。俺を欲しがれ。俺のことを、愛しているのだろう?」

 その言葉に、璃鈴は胸をつかれた。



(愛している……? 私が、龍宗様を?)

 璃鈴は、秋華が好きだ。里のみんなが好きだ。独占欲のない愛しか知らない璃鈴が、嫉妬を胸にはらむほどに誰かを深く愛したのは、これが初めてだった。

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