雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「違うのか?」

 間近に見える龍宗の目は、璃鈴が初めて見る優しい色をしていた。


「私は」

「愛して、いるのだろう?」

「私、は……」

 言いながら龍宗は、璃鈴に顔を近づけていく。あまりの至近距離に、璃鈴がその緊張に耐えられず、ぎゅ、と目を閉じると、二人の唇が静かに重なり合った。



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「璃鈴様、お起きになっておられますか?」

 一夜が明けた。
 夕べの事もあり、少し早めに秋華は璃鈴の部屋にやってきた。声をかけて、やけに部屋の中が冷えていることに気づく。
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