雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「どうしたのかしら」
他の女官に聞いてもわからない、とのことで、璃鈴は気をもんでいた。かた、と扉の開く音に璃鈴が振り向く。
「秋華?」
だが、そこにいたのは龍宗だった。龍宗も、璃鈴の呼びかけに面食らったようだ。
「龍宗様! す、すみません。つい秋華かと……」
「あの女官は不在か?」
「はい。夕方から姿が見えなくて……」
長椅子に腰掛ける龍宗に、璃鈴はいつものようにお茶を入れる。
「今日はお早いのですね」
「ああ。件の女官から、今日は話があるから夕餉の後にくるように、と伝言をもらったのだ」
「秋華が、ですか?」
「実際に来たのは他の女官だったから本人ではなかったがな。お前がなにか用があるのかと思ったのだが」
尋ねた龍宗に、璃鈴は首を振る。
「いいえ、私は何も……もしかしたら、これかもしれません」
璃鈴は、夏花が持ってきたお茶の缶を見せた。
他の女官に聞いてもわからない、とのことで、璃鈴は気をもんでいた。かた、と扉の開く音に璃鈴が振り向く。
「秋華?」
だが、そこにいたのは龍宗だった。龍宗も、璃鈴の呼びかけに面食らったようだ。
「龍宗様! す、すみません。つい秋華かと……」
「あの女官は不在か?」
「はい。夕方から姿が見えなくて……」
長椅子に腰掛ける龍宗に、璃鈴はいつものようにお茶を入れる。
「今日はお早いのですね」
「ああ。件の女官から、今日は話があるから夕餉の後にくるように、と伝言をもらったのだ」
「秋華が、ですか?」
「実際に来たのは他の女官だったから本人ではなかったがな。お前がなにか用があるのかと思ったのだが」
尋ねた龍宗に、璃鈴は首を振る。
「いいえ、私は何も……もしかしたら、これかもしれません」
璃鈴は、夏花が持ってきたお茶の缶を見せた。