雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「こちらこそ、先ぶれもなしの訪れをお詫びいたします。だがこれも皇帝のご意向とご理解いただき、どうかお許しください」

 青年は、璃鈴を見た。

「急がせて申し訳ありませんが、このまま我らと宮城へお越しいただきたい」

「はい。では、仕度をしてまいりますので、少しのお時間をいただきます」

 軽く会釈をすると、璃鈴は自分の部屋へと急いだ。

(なんだか、大変な事になっちゃった……)



 ばたん!

 璃鈴が荷物をまとめていると、いきなり部屋の扉が開いた。

「璃鈴! あんたが皇后に選ばれたって本当?!」

 どやどやと入ってきたのは、璃鈴と同じ神族の巫女たちだ。璃鈴は、服をたたんでいた手を止めて彼女たちを振り返った。
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