雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「詳しくお話をきかせてもらいましょう」

 そう言った余輝を、秋華は見上げた。


 自分たちが助けられ周尚書の話がでているということは、おそらく、すべては明るみに出たのだ。無意識のうちに、秋華は大きく息を吐く。それは、すべてから解放された安堵のため息だった。

 ちょうど、地下牢からの階段をあがりきったところで三人は外に出た。外はまだ雨が降っている。その空を一度見上げると、秋華は飛燕の腕から地に足を下ろした。今度は飛燕も止めなかった。

 秋華は、余輝の顔を見あげる。心の重荷が降りたことで、秋華は自分でも意外なことに、はんなりと笑むことができた。


「はい。お話しします。すべて」
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