雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「お前は本当に馬鹿だな! 死んでしまったら相手の思うつぼだぞ!」

「でも、生きているのでいいじゃないですか」

「それはたまたまだ! 渡されたものが毒だとわかったあの女官が、半分をただの茶にすり替えていたのだ。そうでなければ、お前の目が二度とは開くことがなかったのだぞ!」

 どなりつける龍宗の剣幕に、璃鈴は驚いて肩をすくめる。


「半分……ですか?」

「ああ。それくらいなら、警告ですむと思ったらしい。故郷の家族を人質にとられて周尚書たちの言うことに逆らえなかったらしいが、それでもお前が殺されてしまうことを黙って見ていられなかったんだそうだ。結局、半分ですら致死量に近かったために、お前は死にかけたのだがな。とんでもない毒を使ってくれたものだ」
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