雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 忌々しそうに龍宗は吐き捨てるが、その目は今にも泣きそうに見えた。龍宗のそんな顔は初めて見る。


「龍宗様……」

「あまり、心配させるな」 

 小さく言った龍宗の手が、小刻みに震えていることに璃鈴は気がついた。

「ご心配をおかけいたしまして、申し訳ありません」

「二度と、あんな真似はするな」

「それは……約束できません」
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