雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 きっぱりと言い切った璃鈴の言葉に、龍宗は、か、と目を見開く。

「お前は……!」

「私は!」

 龍宗の言葉を止めて、璃鈴は叫んだ。少しかすれてはいたが、その勢いに龍宗は目を瞬く。



「龍宗様に信じて欲しかったのです」

「何……?」

「私は、決して龍宗様を裏切るようなことはしません」

 龍宗は、おもいがけず厳しい表情になった璃鈴にのまれたように黙り込む。

「龍宗様に供するものは、どんなものをお出ししても、毒など、私は絶対にいれたりしません。それくらいなら、自分でその毒を飲み干します。だから……決して裏切ることなどないと、私を、信じてください」

 短くない沈黙が、二人の間に落ちる。
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