雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「ああ……」

 龍宗が璃鈴の頬に触れて、その上にかがみこむ。二人の唇が重なる瞬間、派手な音が響いた。


「……」

「……」

 龍宗がゆっくり起き上ると、璃鈴が真っ赤な顔をしていた。

「腹が減ったのだな」

 笑いだしそうになるのを我慢しながら、龍宗が聞いた。

「それもそうだろう。お前は、三日も眠っていたんだ」

「三日?!」

 とりあえず枕元に水があったので、璃鈴は龍宗に起こしてもらってそれを飲む。体を動かすとあちこちが痛んで、璃鈴は三日眠っていたという龍宗の言葉を実感した。
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