雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「ああ。伝雲と周尚書は秋華に確かに毒を渡していた。だが、秋華は一度もお前の口にするものには毒は入れていなかったと言っている。しかし、それは秋華自身の証言だけで証拠がない。さらには周尚書たちがそろって秋華が仲間だったと証言したこと、実際に秋華が毒を所持していたことが裁判の場で明らかになったことで、どうしても彼女を罪に問わざるをえなかったのだ。本来なら周尚書たち同様処刑となるところだったが、神族の巫女ということもあって、せめても、後宮追放の処分ですませることができた」

「そんな……」

 璃鈴の震える手を、龍宗がしっかりと握った。



「璃鈴。秋華は今は安全なところにいる。だから、心配するな」

「だって……」

 ぽろぽろと璃鈴の目から涙が流れる。
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