雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 執務室を空けるために、龍宗は自分が今まで抱え込んでいた仕事を各省に振り分けるようになった。そこで初めて龍宗のやっていた仕事が各官吏の知ることとなり、その内容の卓越さに龍宗を見直すものが続出していた。

「特に今は、議会はいろんな意味で紛糾しておりますから、どちらかといえば怒鳴り散らす陛下がいない方が官吏たちの精神衛生上、良い気が……」

「何か言ったか? 飛燕」

「いいえ。何も」


 皇后暗殺に関わっていた礼部尚書がその罪で処刑されたこと、他にも幾人か朝廷内で彼に関わった者がいたことで、内部人事が大きく動いたのだ。

 また、その娘であった周淑妃以下、後宮にいた妃たちは、璃鈴を除いてすべて身一つで後宮を追放された。
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