雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 どうやら玉祥は父が皇后暗殺までもくろんでいたことを知らなかったようで、父が捕縛された報に本気で驚き、そして怒っていた。


 後宮には、また璃鈴が一人だけ残されることとなった。



「どうぞ、飛燕様」

「ああ、ありがとうございます」

「!」

 飛燕の前の卓にお茶をおいた春玲の手が、そこにあった書類をよけようとした飛燕の手に触れた。
とたん、秋華があわてて手をひく。顔を赤くして目をそらした秋華を、飛燕は目を細めて見つめていた。


 璃鈴と龍宗は、そんな二人を見てお互いに含み笑いで目を合わせる。
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