雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 飛燕に対する春玲の様子が変わったことに、璃鈴たちはすぐに気づいた。時折そうやって飛燕を意識しているような姿を幾度も目にするようになったのだ。そして、そんな春玲を愛し気に見つめる飛燕にも。



「えと、あの……長い雨ですね」

 意識をそらすように、春玲が窓の外に視線を向けた。

「そうだな」

 龍宗が相槌をうって、同じように外を見る。飛燕は、意味ありげな視線を龍宗に送る。

「龍宗様」

「わかっている」

 男二人で分かり合う姿に、璃鈴と春玲はきょとんと目を丸くした。


  ☆
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