雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「ええ。龍宗様が皇后様と二人で舞った時には、天と地をつなぐ理を感じられたそうです」

「天と地をつなぐ理……私にも、そのようなものは感じられません」

 話しているうちに、短い舞は終わった。飛燕と春玲が向かい合ってお互いを見つめる。

「やはりあのお二方でないと、天はお気に召さないようだ」

「ふふ。そうかもしれませんね」

「春玲殿」

 飛燕は、春玲の澄んだ目を覗き込む。

「これからも、時々一緒に舞っていただけますか?」

「はい。もちろんです」

 ほんのりと頬を上気させて、春玲は答えた。天と地の理はわからなかったが、飛燕と舞うのは純粋に楽しかったのだ。
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