雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「疲れたか?」

「いいえ。とても、楽しかったです」

 微笑む璃鈴に、龍宗も微笑む。

「本当に、天地と一つになるのですね」

 舞を舞っている間、璃鈴は不思議な感動を覚えていた。いつか部屋で龍宗と共に舞ったとき、体中が粟立つような心地がしたが、今日のそれはあの時の比ではなかった。

 体中に天のそして地の気が流れ込んでくるのがわかった。大気に霧散していきそうになる身体を繋ぎとめてくれたのが、龍宗の存在だ。強烈な力で璃鈴の身体を引き留めて、舞わせてくれた。

「雨の巫女の力は、もともとは龍の中にあったものだそうだ」

 眩しそうに陽の光を見上げながら、龍宗が言った。
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