雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「夕べのこともある。まだ、体がつらいだろう。よくがんばったな」

 言われて昨夜の閨を思い出し、璃鈴は、か、と頬を染めた。

 璃鈴にも、ようやく夫婦の契りの意味がわかったのだ。初めて感じた悦びと激しい痛みの中で璃鈴は、ただ龍宗の名を呼び続けることしかできなかった。そんな璃鈴を、時に優しく時に激しく、龍宗は快楽の頂点へと導いてくれた。

(で、でも、あんな格好で……何にもわかんなくなって……!)

 恥じらう璃鈴を見て、龍宗はくつくつと微笑む。

「今日は一日、ゆっくりと休むがいい」

 言うが早いか、龍宗はその小さなからだを軽々と抱き上げた。

「あのっ、自分で、歩けますっ」

「俺がこうしたいのだ」

 龍宗は、抱き上げた璃鈴の頬に口づける。
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