雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「こちらが、璃鈴様のご滞在なさる棟になります」

 七日馬車に乗った後で璃鈴が到着したのは、首都黎安にある皇帝の別邸の一つだ。

 婚儀は、明日の夜に行うことになっている。璃鈴はここでそのための衣装などを整えることになっていた。



「璃鈴様、お疲れになったでしょう」

 璃鈴のために寝床を整えながら、秋華が言った。

 侍女となってからは、秋華の言葉遣いは、友人から目上のものへのそれに変わっていた。それを璃鈴は寂しく思う。

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