雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 その夜、龍宗が璃鈴の部屋を訪ねると、秋華が困ったような顔をして待っていた。

「申し訳ありません。皇后様におかれましては、本日の雨ごいの舞でお疲れになったらしく……」

 見れば、璃鈴は長椅子で横になったままぴくりとも動かない。



「先ほどからお起こししているのですが……」

「よい。眠らせておけ」

 深く眠っている璃鈴は、吐息すら細い。その頬を、龍宗はそっとなでる。それでも璃鈴が起きないとわかると、ぷにぷにとその頬をつつき始めた。

「本当に起きないな」
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