やっぱり好き!!
あたしの名前は鞠(まり)。ごく普通の会社員だけど、後輩や同僚からは羨ましがられたりする。

「鞠先輩の彼氏ってめちゃくちゃデレデレじゃないですかぁ!おまけに可愛い系のイケメンだし!」

「家事とか手伝ってくれるって普通にいい人なんだけど!羨ましい!」

あたしには付き合って三年目になる彼氏がいる。名前は陵(りょう)。そこそこ有名なギタリストで同棲してるんだ。

「きっとこの悩みを言ったら贅沢だって言われるんだろうなぁ〜」

会社からの帰り道、あたしはため息をつく。確かに同僚や後輩の言う通り、三年経った今でも陵との関係に停滞期という言葉はなく、毎日のように「可愛い。愛してる」って言ってくれる。でも、あたしは言葉だけじゃなくてもっと形でもほしいんだ。

「ただいま」

あたしが玄関のドアを開けると、「おかえり〜!!」と言いながら陵が子犬のように駆けてくる。陵が抱き付いてきたので、「重いよ、どいて」といつものように返すと、陵の体から独特の匂いがした。
< 1 / 10 >

この作品をシェア

pagetop