世界は、少しだけ愛しづらいから
入学して一ヶ月、
満開だった桜の華も散り始めて、高校生活にも慣れてきた
私立ということもあって1学年400人以上、すれ違っても靴のラインを見なければ先輩か、同級生かも分からない
3年後の卒業アルバムで初めて見る顔も少なくはないと思う。
あたしがそうであるように、他の人もあたしのことなんて知らないんだ。
部活には所属していないし、友達もないに等しいあたしの存在なんて、きっと、誰も気づかない。
今は笑顔で会話をし合っているこの子とも卒業と共に心のずっと奥にある、記憶の箱の中に鍵を掛けられて、いつかは忘れ去られるんだ。
そんなことになるのなら、あたしは初めから誰の瞳にも映りたくない、存在なんてしたくない、