豚は真珠♡
第六章

理想



学校が冬休みに入ると受験に向けて追い込みに入っていった。
守人とはあのクリスマスの日から何日か経ったが、あれ以来ラインするぐらいで会ったりはしていない。
二人の目指す学校は私が近くの調理専門学校、守人が法律行政専門学校だった。
私は高校三年間の家庭科部で更に調理に興味が沸き、守人は家が会社を経営している関係でその方向へ向かう事になった。
あまり守人とはお家の事について話した事が無い。
何故かその話をしようとすると守人はあまりいい顔をしないような気がしたからだ。

『守人・・・。元気にしてるかな~。』
受験勉強に飽きた私はそんな事を思った。
大きく伸びをしてから私は我に返る。

(いけない!今はこっちに集中しなきゃ!!)
そう思った瞬間スマホが鳴った。

《よ!真珠子勉強はかどってる?》
真利亜だ。真利亜はネイルなどが好きで美容学校に行くらしい。
親が美容師なので少し顔を使ってもらったとか言っていた。

《ぼちぼちね。真利亜は?》

《私もマイペースにやってるよ!》
(お気楽だな~。)
ちょっとひがんでしまう。

《よかった^^》

《守人君とは?会ってる?》

《会えないよー。お互い受験だし》

《そっかぁ。たまには気晴らしにデートしなよ?》
そんな事言っても守人が大変な勉強に追われているのを知ってるから気軽に誘えない。きっと私の勉強なんかよりうんと比べ物にならないくらい難しい。

《うん!そうするわ!》
真利亜を心配させたくないのでそう送っておいた。

『はぁ・・・。』
私は深いため息をついて背もたれに寄り掛かる。
私だって会えるもんなら会いたい。
その瞬間あのクリスマスデートでイルミの前で守人が言った言葉が蘇ってきた。
それと同時に顔が又熱くなった。

(ダメダメ!集中集中!!)
私はほっぺを軽く叩いて気持ちを引き締め又勉強に戻った。


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