豚は真珠♡

自分の部屋に戻った俺は頼に連絡をした。
一連の流れを説明するといつもの流れ川で落ち合う事になった。
俺はスマホと財布だけを持って家を飛び出した。


流れ川に着くと、頼はまだ来ていない様子だった。
俺は土手に座り川を眺める。
ここはいつもと同じように川が流れ電車の音がする。
周りで小さな子供たちがボール遊びをしている楽しそうな声も聞こえてきた。

(癒される。)
心なしか少し落ち着きを取り戻した気がした。
そんな事を考えていたら声が聞こえた。

『おう。大丈夫か?』
後ろから頼が現れた。
頼『ほれ。』
そう言って缶コーヒーを投げてきた。
俺は落としそうになって焦る。
『お、おう!』

頼『んで?親父さんなんだって?』
俺はもう一度さっきの事を伝えた。頭を整理しながら話したせいかまた少し落ち着いた気がした。

頼『はぁ。そう来たか・・・。』
頼は深いため息をつく。

『あの人はいつもそうだ。勝手に決めて俺の気持なんかお構いなし。』

頼『この間二人が話している時もそんな感じしたよな。しゅうちゃんには決定権はないっていうかさ・・・。』

『うん。俺はいつもあの人の言いなりで、あの人の思うがままの道を歩いて来たんだ。』

頼『まさに”理想の息子”だな。』

今に始まった事ではない。
昔こんな事があった。


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