豚は真珠♡
爺はゆっくりとカップを持ち軽く香りを嗅いだあと口へと運んだ。
爺『実はこれも今社長が淹れたルイボスティーなんです。』
『これも…。爺が淹れてくれたのかと思ってた。』
爺『先程…。守人様が家を出てから社長はずっと悲しそうな顔をしておられます。』
(悲しそうな顔ね…。)
爺『自分は又守人様の気持を考えてやれなかったと。ただ守人様が幸せになってほしいと願って行った事がすべて裏目に出てしまう…。社長様はいつでも守人様が一番なのです。だからこそ将来を考えて今回の事を伝えたのだと思います。』
俺はそこまで聞いてから改めて俺はあの人の子供であの人が親なんだと感じた。
優しい気持ちで行動していつも裏目に出るのは俺も一緒だ。それは親から受け継いだのだろう。
爺『今回のルイボスティーも不器用な社長なりの守人様への謝罪と感謝の現れなのかもしれないですね。』
爺は又白い眉の下の目を細めた。
ルイボスティーを飲み終えた爺は下のリビングへ戻って行った。
俺は一人になってさっきの爺の言葉を思い返していた。
(甘えていたのは…。俺の方だったのかもな。)
結局俺は自分の行く方向性を親に示してもらいそれに甘えて自分では考えようと、選択しようとしてこなかった。
それに親の苦悩も愛情にも気が付かずに自分だけが可哀想な人間だと決めつけていた。今回の事はもっと真剣に考えるべきなのかもしれない。
(俺の人生か・・・。)