豚は真珠♡
‐守人side‐
親父と話した後自分の部屋に戻りソファーに倒れるように座った。
(すごく疲れた・・・。)
久しぶりに神経を張り詰めるような時間だった。
それだけ今まで自分も逃げてきたのだろう。
ふと机の上で光るスマホに目が行った。
又暇な例の人物からのラインだろう。
重い体を起こして机に近づく。
画面を付けた俺は心臓が大きく脈打ったのが分かった。
画面には頼以外に伊藤さんや、今野から何件もの電話が来ている。
嫌な予感がした。何だかもの凄く胸騒ぎがする。
それを考えるのを自分が拒絶しているようだった。
その瞬間携帯が鳴った。
(頼からだ・・・。)
震える手で通話ボタンを押す。
『やっとでた!』
耳に当てるのと同時に頼の怒鳴り声が聞こえてきた。
頼『遅いよ!何してたんだよお前!』
俺は声も出せずにいる。頼がこんなに焦っているのは初めてだ。
頼『今すぐ流川病院に来い!』
『え・・・。なん・・。』
頼『真珠子ちゃんが交通事故で運ばれたんだよ!とにかく急いで来い!』
そこまで言うと電話は切れた。
(え?今何て言った?真珠子・・・?)
気が付くと俺は携帯を片手に走り出していた。
うまく頭が働かない。いや、拒絶しているのだろう。
階段を降りたところで爺に話しかけられたが振り向きもせず玄関を出た。
これまで出したことのない速度で足が動いているのが分かった。
門の前まで来た所で爺が後ろから叫ぶ。
爺『守人様!乗ってください!!!』
振り向くと爺が車の運転席から俺に叫んでいる。
よく考えたら隣町の流川病院までは電車で行くことになる。
パニックになり冷静な判断が出来なくなっている事に気が付く。
急いで爺の元へ駆け寄り飛び乗る。
『な、流川病院まで行って!!』
焦っている俺を見て爺は車を急発進させた。
(真珠子!!!)