豚は真珠♡


−峰side−

ー数日前ー

(暑い…)
さっきからそればっかり考えている。
ここは図書館だ。今日は頼と課題をやりにきた。

『……グガッ!!』
隣で頼がいびきをかいている。
(この野郎…)
俺は気持ちよさそうな頼の鼻をつまんでやった。

『グガッ…グッ!!!』
頼が苦しそうにしている。
俺はそれでもつまむのをやめない。

『グッ!!!ゲホゲホ…!!!』
やっと息がしにくくなって目が覚めたようだ。

『おい。起きたか?』

頼『う…俺寝てた?』

『うん。とても気持ちよさそうにね。』

頼『ごめん…』
顔をこすりながらまだ眠そうだ。

『昨日もゲーム遅くまで?』

頼がコクッと頷く。

『いいな。お気楽で。』
俺は嫌味たっぷりに言ってやった。

頼『だって華の夏休みだぜ?やっと部活も終わったし。』
そう言って拳をつくる。
俺たちは引退試合でさっさと負けたのだ。

『でも気が抜けちゃうよな…俺は大学志望だから勉強しなきゃなのに…』
俺は親から大学は必須と言われている。親の顔を守るためだろう。


頼『大学ねー。俺には無縁だね。』
頼はこのまま親の八百屋を継ぐらしい。だからお気楽でいられる。

ハァー。
大きなため息がでる。

頼『それより!』
そう言って頼が机をバンッと叩いた。
周りの利用者が一斉にこちらを向く。

『ばか!』
俺は小声で言う。
頼も気が付き顔をしかめた。


頼『お前、あれから三木ちゃんとはどうなんだよ。』

『別になんも…』
あの騒動があってから俺は何となく気まずくて三木さんと話せていない。

頼『馬鹿だなー。高校最後の夏に恋の一つくらいしとけよ。』

『お前だって同じだろうが!』
言い返してやった。
すると頼の顔がニヤァとなる。

頼『残念だったな。俺にはもう好きな子がいます。』
初耳だ。

『え!いつのまに?』
話を聞くと昔好きになった子が最近近くに引っ越してきたらしい。
その子を今振り向かせるため毎日連絡を取っているらしい。

『へぇー。やるね、お前。』

頼『だろ!』
頼は上から俺を見下すように言った。

頼『だからお前も少しは距離縮めろって!』

『そんなこと言ったってどうやって…連絡先も知らねーのに。』
俺は今だ三木さんの連絡先を知らない。
どうやって聞けばよいか分からない。

ハァー。
俺が二度目のため息をつくと頼が俺の肩をガシガシと揺らしてきた。

『いてーよ。んだよ!』

『あれみろよ!あそこにいんのって…』

そう言って前の方を向くとそこにいたのは…ーーーーー


< 48 / 136 >

この作品をシェア

pagetop