豚は真珠♡

ー当日ー

朝から俺の家には頼が来ていた。
俺はデートなんてまともにしたことが無い。だから頼が色んなことを教えてくれた。
プレゼントの渡し方、デートの服、立ち回り方…。
朝から髪のセットするのでさえ頼にやってもらった。

セットに時間がかかり時間ギリギリになってしまった俺達は急いで階段を降り玄関に向かった。
階段を降りたところで親父とすれ違った。

『少し出かけてきます、お父様。』

父『うむ。少しは気晴らししてこい。』

『はい。行ってまいります。』
俺は軽く頭を下げた。

その光景を見ていた頼がまるで王様と下僕みたいだったと後で言ってきた。
そりゃそうだ。俺はいつもあの人の言いなりであの人が思うような息子だ。あの人の言うことは絶対だし逆らえない。
彼女なんて連れてきたら大変なことになる。だから恋愛なんかもってのほかだった。
それを聞いた頼は俺の肩をポンッと叩き言った。
『お前も苦労してんだな。真珠子ちゃんならお前を助けてくれるかもな。』

(真珠子…。真珠子なら・・・。)

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