冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
(駄目、もっとしっかり今後について考えないと)

深雪たちからアドバイスされたように和泉に協力して貰うのは無理だ。だけど和泉は都合の良い婚約者を望んでいる様子だから、叔父たちが目論む“ように、奈月が婚約者失格のレッテルを張られた上で追い出される展開にはならないように思う。

とは言え、ずるずる時間が過ぎたらしびれを切らした叔父家族が良くない動きをしそうで不安だ。

(明日、深雪さんたちに相談してみようかな)

あれこれ考えながら何気なく部屋を見回すと、クローゼットらしき扉の前に事前に送っておいた段ボール三箱が積んであった。先ほどは見逃していたが事前に奈月が和倉家から送っておいたものだ。

「片付けないと……」

気は重いけれど立ち上がり段ボールの前に座り込む。

フローリングの床の大部分には毛足の長いフカフカの絨毯が敷かれているので、そこに座り込み段ボールを開封し中身を取り出す。と言っても元々荷物が少ないので、大した量はない。

(もしかして亜貴さんは私の荷物が少ないから、気を使ってくれたのかな?)

荷物は着替えが少しと、広川堂の制服の替え。和食器や器の書籍。それから両親の形見の品くらいだ。
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