冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
だんだんと心拍数が上がっているのが分る。息苦しさが襲って来た。

「聞いているのか?」

責めるように問われ、俯いていた顔を上げた。
しかしその瞬間先ほどの眩暈がぶり返し、体が大きくよろけてしまった。

「奈月!?」

和泉の焦ったような大声が聞こえる。直後、よろける体は温かさに包まれた。

「奈月! おい、どうしたんだ?」

和泉が焦ったように奈月の顔を覗き込む。

その表情に嫌悪感は見当たらなかったので、ほっとした。けれど目の前は暗くなり彼の顔が霞んでくる。

「ごめんなさい……」

「奈月?!」

和泉のその声を最後に、奈月は再び意識を失った。



「奈月……奈月」

誰かが必死に呼びかける声が聞こえた。

ゆっくりと目を開く。ぼんやりとした視界に端正な顔立ちのアップが映り込む。

「……和泉」

掠れた声で答えると、彼はほっとしたような表情になった。

「気分はどうだ?」

「え?」

「俺と話していたのは覚えてるか? あの後急に倒れたんだ。二時間ほど意識が戻らなかった」
和泉の言葉で、その時の状況を思い出した。

「あ……ごめんなさい、迷惑をかけて」
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