冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
(検査のことはいつ言われるんだろう。こんな大事になっちゃって和泉はこの先どうするつもりなのかな)

亜貴があの様子では、司波隆司はもっときついことを言っている可能性がある。

奈月の知らないところで、和泉は責められているかもしれない。

「次に病院に行くのはいつだ?」

「え?」

突然話しかけられたので驚いた。びくりとする奈月に和泉はむっとしたように眉根を寄せる。

「定期的に検診に行くのだろう? 次はいつなんだ?」

「あ……ええと、来週に」

「そうか」

和泉は頷くと再び口を閉ざした。病院の話が出たので検査についても触れられるかと身構えたが、彼は何も言わなかった。

沈黙が訪れたが、ちょうど玄関についたので丁度良かった。

和泉は奈月を部屋まで送ってくれた。

「あの、ありがとうございます」

お礼を言う奈月に和泉は何も答えず踵を返した。

素っ気ない態度に、溜息がもれる。

あんなに優しかった彼の冷たい言動を目の当たりにすると、自業自得だと分かっているのに傷ついてしまう。

憂鬱な気持ちになりながらソファーに腰を下ろした。

(こうしてゆっくり出来るのだけでも、恵まれているんだよね)
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