冷徹旦那様との懐妊事情～御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない～
物的には何不自由なく過ごせている。孤独が辛いなんて嘆くのは我儘なのだろう。

司波家の立場で考えればDNA検査をするのも当たり前だ。

（そう言えば、和泉は何も聞いて来ない）

子供の父親が自分ではないかもしれないと疑っているのに、どこの誰と付き合っていたのか追及はして来ないのだ。

（どうしてなのかな）

詳細を追及されてもおかしくない状況なのに、決してそうしようとしない。

亜貴との会話でも検査に積極的ではなかったし、まるで事実を確認するのを億劫に感じているようだった。

ただ面倒だからなのか、それとも別の考えがあるのか。

考え込んでいると隣の和泉の部屋の扉が開く音がした。

続いて足音がして遠ざかっていく。

（今日も出かけるのかな）

和泉はここ最近、不在がちだ。平日の帰宅は深夜。
今日のような休日でも夕方からどこかに出かけ、何時に戻っているのか分からないほど、帰宅時間は遅い。

付き合っている時の彼と明らかに生活スタイルが違っている。

出かけてばかりでは疲労が貯まってしまわないかと心配だったけれど、奈月の気遣いなんて不用だろう。

それに和泉は新しい恋人に会いに行っているのかもしれないのだから。

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