冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
和泉とウイリアムズはゆっくりと棚を端から見て行く。取引先のアテンドと聞いていたが、ふたりの様子は友人のように気安いものに見えた。

長身で華やかな雰囲気のふたりは目立つので、他の客の注目を浴びていたが慣れているのか全く気にしていないようだった。

しばらく見守っていると和泉が奈月の方を振り返りスマートな仕草で手を挙げたので、すぐに向かう。

「これは何て言うものですか?」

「織部焼の豆皿です」

「豆皿? こんな小さいの使い道があるんですか?」

「薬味や調味料用に使うという声を聞きますが決まりはありません。好きに使って下さっていいんですよ」

深い緑の手の平よりも小さな皿はとても可愛い。自分用に欲しいくらいだ。

「僕にはもう少し大きいものがいいかな」

「でしたらこちらはどうでしょうか? 同じ織部焼の平皿です」

「いいね」

その後、何点か説明をしてした。ウイリアムズは満足してくれたのか、全て買い上げてくれた。

「ありがとうございます」

接客が順調に終わりホッとしながら、丁寧に包装する。ウイリアムズはまだ気になるものがあるのかひとりで店内をウロウロしており、和泉が奈月の作業を眺めていた。
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