冷徹旦那様との懐妊事情～御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない～

「そう。物分かりが良くてよかった。ではすぐに段取りをするから、よろしくね」

「はい」

亜貴は足早に奈月の部屋を出て行った。緊張から解放され奈月はほっと肩を撫でおろした。

（検査のこと、和泉に報告したいな。それから出来ればエコー写真も見てもらいたい）

彼の足音が聞こえて来るのを待っていたけれど、次第に瞼が重くなり強い睡魔が襲って来た。

和泉に会えないまま奈月は眠りの世界に沈んでいった。



十一月中旬。DNA検査の結果が届いた。

胎児の父親は和泉と科学的に証明されたのだ。

はじめから結果は分かっていたけれどほっとした。

義父と亜貴は冷静に結果を受け止めていた。和泉は何も言わなかったものの、動揺しているのが表情で分かった。

ただその感情が何なのか。憂鬱になっているのか、喜んでいるのかまでは読み取れなかった。